少子高齢化・人口減少社会になりつつある日本。活力のないまちは、人が流出し、産業が廃れ、税収も減って行政サービスも低下し、衰退すると言われている。平塚はどうだろうか。住みたいまち、事業を構えたいまちを創出する『都市間競争』の中で、平塚は今後どうあるべきか。
 前編(11月7日号)では、平塚の現状と問題点が提起された。人も産業も集まる《まち》を創る上で、しっかりとしたまちの設計図を描く必要性が論じられ、産業発展のための道路整備や、活性化の核となる駅周辺整備の必要性が述べられた。
 後編では、都市間競争において周辺都市に比べ特に遅れを取る駅周辺の平塚のまちづくりと、波紋を呼んでいる駐輪場建設について議論する。
駅周辺の平塚のまちづくり

本来の目的はどこに

出縄「駅周辺の整備計画も含めてぜひ市民の皆さんにも知っていただきたいのですが、平塚市は十数年にわたって平塚の駅にもう1本のホーム、ライナーホームを作る計画を立ててやってきたわけで、実際にはできなかったのですが、これをやろうとした目的は何かを考えていただきたいんです。いわゆる駅周辺の平塚の開発も含めて中心市街地の活性化を目指していたわけですね。だからこそ26億円をかけて土地を買ったのですが、必要とされたものができなくなった。ただ、できなくなってもコンセプトそのものは変わらないんですよ」。

鈴木「計画の中止は、一つの要因として湘南ライナーなども止まるようになり、東海道線の始発も結構あり、多額の整備費をつぎこんでライナーを持ってきたとしても当初見込んだ乗降客数が望めないと」。 出縄「そこで計画中止後の駐輪場への転用ですが、例え話ですれば、子どもが参考書を買いたいからお金をくれといって親が金をあげたら、本屋が閉まっていたからコンビニでチョコレートを買って使ってしまったということに。本来は親に断らなければいけない、使い道が違うんだから。私が怒ったのは勝手にチョコを買おうとしたからですよ。市民の税金、市民の財産ですよ。この場合は市民にもう一度ゼロから問い直し、そのうえで行政の方針を示すべきでしょ」。


福澤「出縄さんが言ったとおりでね、ライナーホーム用に26億で買収した土地ですから、それを他のものに使う場合には、ライナーホームを作らなくても現在あるホームで止まることが可能でありライナーの乗客が少なくなって資金を注ぐのは市としてはもったいない、だから別な使い方をしたいと市民がわかるように説明しなくちゃいけない。それがいつのまにか駐輪場を作る話になっている。巨額で買ったところに駐輪場で果たして本当にいいんですかという疑問がわきます。市民にきちんと知ってもらう必要があると思うのですが」。

土地の有効活用か

常盤「中心商店街でも今回の駐輪場に関して市に意見書を出しましたが、作らないでという要望ではないんです。商店街の厳しい現状は前回話しましたが、商店街として昔は駐車場が足りなかったから駐車場を作ってくれと要請して駐車場ができた経緯があります。でも現在はFMなどで聞いていますと利用率が30%とか40%なんですね。経営者の立場からすると、26億の土地のうち今回12億相当の敷地に約10億円をかけて約3400台収容の駐輪場をお造りになろうとしているけれど、一台あたりの設備投資額として妥当といえるでしょうか。私たちは、錦町の駐車場の2階を駐輪場にして、市民プラザの2階と3階も非常に止めにくいからそこを駐輪場にしてもらい4階以上が駐車場でいいんじゃないかと。税金の使い方や市有の土地建物の価値をもう一度見直してもらい、もっとこのまちに役立つものにしてほしいと」。

田代「これは個人的な考えですが、計画のような駐輪場ができたとしても不法駐輪がなくなるとは思いません。完全にモラルの問題で、有料はいやだとか持っていくのが面倒だとかルールを守らない人はいる。何万人という民意であそこに作ろうというものであれば構わないと思うのですけれど、安易な感じがする。駅や中心商店街に集中する自転車数を減らすことも考えては。郊外のバス停にはかなりひどい状態で自転車が置かれていたりするじゃないですか。ああいった所に小規模の駐輪場を配備すればバスを利用しやすいかもしれない。駐輪場に関しては視点を変えることが必要だと。皆さんが発言したように空いている駐車場のワンフロアーを駐輪場にするとか確かにその通りだと思うし、もっと発想の転換をしていくことでまだまだいい案がでてくるかと思う」。

福澤「北口のバリアフリー化でバス停が周縁部に配置されれば当然地下道は人通りが少なくなってしまうんですから、それを駐輪場に利用しない手はない。今回駐輪場を建設する場合は、補助金の関係で最低8年間は壊してはいけないと聞いております。つまり8年間は何も手をつけられない。それが次の世代に喜ばれる施設かどうか、我々は自分の世代だけでなくて次の世代、次の平塚のことまで考えないと」。

このまちの グランドデザインは

横田「今回の議会の否決について、なぜ?という意見が活動団体の中から出たのは事実です。ただ、背景にまちの活性化、まちの百年の計を考えてのこととわかった段階で皆それは当然のことであろうと話しております。バリアフリー化を推進する上で駐輪場の開設は一刻も早く行ってほしいですが、一方、このまちに賑わいを創出する施設を開設することは基本的によいことだと考えます。今回設置予定の駐輪場をその拠点にもしようというのであれば、案として、一、犯罪抑止・青少年保護・まちの美観の維持に交番を作る。二、高齢者の居場所づくり。巣鴨商店街ではありませんけれど商店街で買い物を楽しみ憩える場を作ったらどうか。三、特定の業者色をなくした地産地消など安全に配慮した地場産商品の売り場。四、市民・市民活動団体・地域の大学などの協働事業拠点。団塊の世代で退職後に何か市民活動をしたいと思う人も増えています。五、震災時の帰宅混乱者の支援施設に転用できるような本部機能を備えた防災倉庫。平塚から帰るに帰れない人がどこに行ったらいいかという問題があるわけです。多くの市民、団体、世代が交流する拠点、コミュニティタウン平塚の実現が、50年・100年を見据えたまちづくりに必要だと考えます。平塚独自のビジョンを持つべきまちづくりで言えば、一つは平塚駅前のバリアフリー化、平面円滑化は、他市より先進的に行う必要があると考えます。平塚の市民活動団体でも、JRのエレベーター設置、駅前のバリアフリー化で多くの団体が取り組み署名活動も展開してきました。地下通路を通らなくてもバスに乗れるという形は概ねよろしいです。ただ、路線によっては車椅子の方でもかなり遠くまで、MNビルの先まで行かなきゃならないところがありますので、そこはもう少し工夫が必要なのでは。例えば足の不自由な障害者がボタンを押すと一度迎えに来てそれからプラットホームにつくとか。その転回ができない構造になっているようですから設計変更を含めてもう少し考えられないものかと。北口と西口の整備、将来的には見附台も含めた総合開発の中でどういうビジョンをもってやるのか、バリアフリーや環境対策も含めて市から示してもらいたいです」。

鈴木「北口バリアフリー化と駐輪場と動線計画および西口の整備というのは本来一体でなくてはならないと思うのですよ。バリアフリー化が出た時に駐輪場の整備計画も一体のものとして示すべきだったろうと。駅前大通りをきちんと整備する上で、そこに駐輪が3列に渡ってあるのは実態なわけで、駐輪場整備計画を合わせて出さなくては動線の確保ができません。茅ヶ崎では歩行者と自転車と車との動線実験をコーンポストを並べてやってみるなど、新たなまちづくりの試行をしている。市民や事業者が知恵を絞ってやっている部分、その情報をきちっと吸収して事業展開しないと絶対成功しないと思うのです。 北口バリアフリー化と今回の西口駐輪場ですが事業が大きいから分けてやろうという話だったかもしれませんが、点と点であってはならない。きちんと一本の線で結ばれて構築できる内容でなければ」。

福澤「もっと総体的なデザインをしたうえでバス停にしても駐輪場にしてもバリアフリー化にしても、考えてもらいたいと思う。私たちは責任世代。責任世代として次の世代に胸を張って贈れる駅前周辺の開発整備をぜひみんなで考えて市にやってもらいたいと私は考えます。そうしないといけないと痛感しました。西口東地の駐輪場にしても、先程横田さんが言ったように、ポリスステーションなどを中に設けるのも非常にいいと思うのですよ。子どもからお年寄りまで安心して安全に通れる道にして、通りをもっと賑やかにする。例えば駐輪場も5階建て自走式でなく、もっと近代的な、それこそカードを入れれば45秒で自転車が出てくるような、立体的で高さは使ってもスペースを使わない施設、細長いノッポビルでも良いのでは。利便性が良くて10年20年先でも使えるようなもの、少しくらい金がかかってもそういうものが駅西口の2カ所くらいにできるのだったら皆反対しないと思う。今の計画では土地をあまりにも雑に使いすぎる」。

常盤「僕たちも全く同じことを感じているんです。見附の開発にしても緑の芝生が植わっているし犬の散歩をしている人もいる。お子さんも遊んでいてとてもいい公園。あそこに物を建てようとしたら絶対近所から反対が出ると思うんですよね。あそこの問題をやるために随分長い時間をかけて冊子までできたんですが、どうするのかな、と。駐輪場のこともライナーホームの計画地が空いてるからではなく、やはり全体的なグランドデザイン、まちがこうなっていくんだよというその中で一緒に議論をさせていただきたい。商業の活性化にしても商店街だけ、地元の一個人商店のみじゃできない。まちのグランドデザインやトータルなアイデアが出てくれば、商店街は、じゃこういう風にしようとかアーケードはこういう風に直していった方がいいと改革的な調和が図れる。それによってこのまちで商売をやってみたいという人がくれば空店舗もなくなるだろうし、新しい経営者が出てくればまちの活力にもなるだろうし、目新しいものも出てくると思うのです」。

財源はどうする!?

福澤「ビジョンを描いても金がない、そんな計画は夢物語でだれもできないよ、と言う声が出ると思いますが、平塚市が設備投資に使う金をいかに作るか、もっと努力してほしいと思う。市は行政的な、ただ作れば良いという仕事から、民間的な仕事。つまり回収型で市民に喜ばれる仕事をしてほしいと思います」。

出縄「利益を得られるものを創ることです。施設の有効活用もひとつ。民間活力の利用もあります。行政の公有財産に関しても商権化することができるようになり、定期借地権を使って民間に貸すことで市には収入が入る。一定の条件の下、民間デベロッパー等に公益性を伴う建物を建てさせることもできる。従来の行政を運営していくスタイルから踏みだし、都市を経営する自治体が都市間競争で先を行くのです」。

福澤「まちづくりは1年2年でできるものではなく10年20年かかるものじゃないですか。膨大な資金が要るからなおさら最初にきちっと全体の設計図を描いて、利益を生む手法も取り入れて、一次工事・二次工事・三次工事とコツコツと。最終的には、あの時代の市民がちゃんとやってくれたからこうなったんだと言われるようにしないとダメですよ。孫とかに、何だおじいちゃんの時代にこんなことやって、どうしようもないや…なんて言われる物を残してはいけないと思います」。

横田「その意味では今回こういう話し合いをしたのはよかったのでは。考え方をきちんと語ることによって市民に伝え、行政に反映されるような方法をとりましょうよ」。

神奈川県内の市町村人口では、横浜、川崎、相模原、横須賀、藤沢についで6番目に位置する平塚市だが、まちの活力度は何番目に入るだろうか。10年後、20年後に向けての都市経営ビジョンとはなにか。どのまちが本気になって動くかが、都市間競争の明暗を分ける。

紙上討論=番外編=

「あなたのご意見」募集
平塚のまちづくりについて、皆さんから寄せられた意見で構成する番外編を作ります。
意見には氏名(匿名希望者はイニシャル)・性別・年代(例 30代)を書き添えて湘南ジャーナル社まで。

締め切りは11月20日(木)
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掲載11月28日号予定


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