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大しめ縄が結ぶ出雲との縁
大磯町の六所神社で5年ぶりに奉納

2018年12月14日UP | headline, Top

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 新年を前に、大磯町の相模國総社六所神社で出雲大社と同じ形の大しめ縄が新調された。関東では珍しい形で、同神社と出雲との古い縁をきっかけに大磯にやってきた。その大しめ縄には神社関係者をはじめ多くの人の思いが込められているという。

六所神社は、2千年以上前に出雲地方から移住した人々が、祖神である櫛稲田姫命(くしいなだひめのみこと)らを祀って創建したと伝わる。源頼朝が戦勝祈願や妻の北条政子の安産祈願に訪れたとの記録が残っている。
 その同神社で6日、5年ぶりに拝殿に新しい大しめ縄が掛けられた。長さ4m30cm、一番太い部分は直径約60cmで、重さは250kgほどという。製作したのは島根県飯南(いいなん)町の飯南町注連縄(しめなわ)企業組合。出雲大社の大しめ縄も製作する組合で、同じ「大黒締め」という形のものを同神社へ奉納した。
 出雲と大磯、遠く離れた地になぜ同じ形の大しめ縄が飾られているのだろうか。

大磯と出雲の縁が始まり
 それは、同神社と同じく、櫛稲田姫命(くしいなだひめのみこと)を御祭神とする松江市の八重垣神社とのつながりがきっかけだった。
 柳田直継宮司(73)夫妻は以前から出雲大社に何度も参拝し、その大しめ縄を見ていた。ただ長さ13m以上、重さ約5tとあまりにも巨大で、神社に同じものを掛けることは考えつかなかったという。
 ところが平成2年、妻の美和さんが八重垣神社を訪れる機会があった。社殿は六所神社と同規模ながら、出雲大社と同じ形の大しめ縄が掛けられていた。大きさは違えども、同じ美しさと迫力を合わせ持つたたずまいに感銘を受け、「完成したばかりの拝殿に飾って氏子をはじめ多くの人に喜んでほしい」と考えるようになった。
 氏子と接することの多い美和さんの提案に、宮司は「良いことだからやってみたらいい」と快諾。美和さんは早速島根に向かい、八重垣神社の宮司の伝手をたどって職人集団に出会った。そして平成3年の初めに製作を依頼。職人たちは春から専用の稲「あかほもち」を栽培し、8月初旬に青いまま刈り取って乾燥させた稲わらを使用。出雲大社が縁結びの神であることから、化粧縄は表から見るとハートに見えるような形に編む。そうして平成3年の暮れ、約1年がかりで完成した大しめ縄が初めて奉納された。

多くの人の寄付で実現
 それと並行して、神社では費用を集めるため参拝者に寄付を呼びかけた。当初「足りなければ自分が出そう」と考えていた美和さんだが、製作や島根からの運搬にかかる必要経費と同じくらいの額が集まった。その後も掛け替えのたび毎回過不足なく寄付が寄せられたといい「不思議なんですが、本当にありがたいことです」と微笑んでいた。今回も、氏子はじめ近隣や関東一円の約300人から寄付が集まり、市井の人々の思いが繋がって掛け替えが実現した。今後一人ずつ宛名を書いて写真入りの礼状を送り感謝を伝えるという。 古いしめ縄は職人が島根に持ち帰り、自然に朽ちていずれ土に還る。その地で育った稲を使って次の大しめ縄を作っていく。ただ高齢化に伴い職人の数は減っているとのことで、美和さんは「後継者を育て、これからも長く作り続けてほしい」と願う。縁結びの御利益があるとも言われる同神社だが、その縁は男女のものだけに限らず人々の間にもある。多くの人や土地との縁を結ぶこの大しめ縄を前に、自分や大切な人の新しい1年の無事を祈る時期がもうじきやってくる。


◇相模國総社六所神社
大磯町国府本郷935 ☎︎71-3737

【写真】
1)掛け替えにあたり神事を行う柳田宮司(中央)
2)ハート形に編んだ化粧縄
3)古いしめ縄は島根に持ち帰る