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バニューシネマパラダイス:シーン112『女渡世人 おたの申します』

1109 映画
『女渡世人 おたの申します』(1971年/日本)

監督:山下耕作 脚本:笠原和夫
出演:藤純子/菅原文太/島田正吾/待田京介 他
東映ビデオより、DVDセル&レンタル中。
笠原和夫は、尊敬する脚本家のひとりである。東映に映画宣伝マンとして入社して、後に脚本家へと転向。美空ひばりの主演映画を皮切りに大監督マキノ雅弘作品でも健筆を揮い、『仁義なき戦い』シリーズでは実録路線という新境地を切り開いたパイオニアでもある。映画宣伝マンから脚本家という道のりを経た僕にとって、非常にシンパシーを感じる大先輩だ。このほど、国書刊行会から「笠原和夫傑作選」全三巻の刊行がはじまった。単価が五千円を越えるため懐に厳しいが、持っていない脚本が多い一巻を購入した。表題作は同書収載の一編。藤純子(現・富司純子)演じる女渡世人が博打場で死んだ男の借金回収のため、男の生家である島の網元を訪ねる。そこで、男の母と擬似親子愛を育み、男の父を殺し網元の土地を騙し取ろうとする町の有力者に、怒りの刃を抜き放つ。笠原が描く激しい「劇」の世界を堪能させられる。しかし、藤を慕う渡世人で涼しげな二枚目の待田京介が、普通なら恋仲になりそうなものを、特別出演なみの出番の菅原文太にお株を奪われ悪役に転ぶ姿には、男として同情を禁じ得ない。
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文とイラスト:竹内清人
1968年生まれ。映画宣伝を経て、『戦国自衛隊1549』で脚本家デビュー。現在、平塚の片隅(馬入あたり)で執筆活動をつづけている。オリジナル小説『躍る六悪人』全国書店にて絶賛発売中!