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バニューシネマパラダイス:シーン110『クワイエット・プレイス』

1012 映画連載
『クワイエット・プレイス』(2018/アメリカ)

監督・脚本・出演:ジョン・クラシンスキー
脚本:ブライアン・ウッズ/スコット・ベック
出演:エミリー・ブラント/ミリセント・シモンズ 他
TOHOシネマズ海老名ほか全国公開中。
「音を立てたら、即死」というキャッチコピーのホラーという触れ込みだが、グロさはなく、出色のスリラーといえよう。大きな物音を立てると襲ってくる「何か」の襲来で、世界各地で人類は存亡の危機に瀕している。登場するのは、ある一家族のみ。父母を筆頭に中学生くらいの長女をはじめ、長男と幼い次男という家族構成。「何か」の襲来から一年以上が過ぎた頃、母は第四子を身籠もって出産間近である。彼らは人のいなくなったスーパーから薬や食料を調達し、「何か」を回避しながら魚釣りに出たり、終わるアテのないサバイバルな状況をひたすらひっそり生き抜いていく。彼らが大きな音を立てざるを得ない状況に追い込む展開は、「ガキの使いやあらへんで」の“絶対に笑ってはいけいない”企画を彷彿とさせるが、実の夫婦である監督と主演女優が父母を演じたり、長女を実際に聴覚障害者の子役が演じることで、劇中の人物関係に真実味を持たせている。そこで浮き彫りになるのは、守るべきもののある人間の強さと、絆を回復する家族の姿である。鑑賞後、不思議な爽快感の残る一作であった。
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文とイラスト:竹内清人
1968年生まれ。映画宣伝を経て、『戦国自衛隊1549』で脚本家デビュー。現在、平塚の片隅(馬入あたり)で執筆活動をつづけている。オリジナル小説『躍る六悪人』全国書店にて絶賛発売中!