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金目川で生き物に親しむ
東海大学の学生と教授が『金目川の魚類』を発行

2018年8月6日UP | headline, Top

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平塚市内を流れる金目川には様々な生き物が生息しているが、見つけても名前が分からないという人も多いのではないか。そのような時に役に立つハンドブックとして今年、東海大学教養学部人間環境学科の卒業生・西巻 肖さんと北野 忠教授による『金目川の魚類』が発行された。地元の川でどのような魚が見られるのか、話を聞いた。

 金目川に住んでいる生き物だけを扱った資料があれば環境教育に役立つのではと考え、北野教授とゼミの学生だった西巻さんが共にこの冊子を作成した。これまでに記録のある60種類を紹介、うち45種については写真と特徴、見ることのできるエリア、見つけやすさなどを記載している。
 この中で、子どもでも捕りやすいのがハゼの仲間・シマヨシノボリ。大きさは6~10㎝で中流から下流まで広い範囲で見られる。「この川では最も個体数の多い魚類の一種」で、石の下に隠れていることが多く、教授は「網をそばに置いて石を動かすと捕まえられます」とコツを紹介する。
 また、水質の良い所を好むカジカ科で県内では絶滅危惧種となっているアユカケは4、5年前から増え出した。その理由は分からないものの、石の下に潜んでじっと獲物を待つ姿がどこかユーモラスである。
 アユも中流から河口まで広い範囲で見られるが、泳ぐのが早いので簡単には捕まえられないという。
 こうした魚がいるのは、川岸から草が垂れ下がっている所や砂地、石の下など。魚によって好む場所が異なるので、多様な環境には様々な種類の生き物がいる可能性が高いという。

背景に水質改善
 現在、多くの魚類が見られるようになったのは、下水道の整備によるところが大きい。高度経済成長期には、全国的に河川の水質が悪化した。県環境科学センターによれば、記録の残る昭和50年代の金目川のBOD(水の汚染を表す指標)は5~6mg/Lとかなり悪かった。しかしその後流域で下水道の整備が進んで水質が改善。現在はBODが1~2mg/Lとなり、市街地を流れる川としてはきれいな水質と言えるという。センターでは金目川について生き物の種類や数を調べる調査は網羅的に行っておらず、比較できるデータはほとんどないものの、調査に携わる人たちの多くは「生き物がかなり戻ってきた」と実感している。
 今回冊子の発行に協力した市民活動団体「金目川水系流域ネットワーク」代表の柳川三郎さん(78)も「子どもの頃ほどではないが、最近は魚のほかテナガエビやモクズガニも増えている」と話す。今後生き物観察会などでこの本を配布したり、小中学校への出前授業などを通じて「子どもへの教育に一層力を入れていきたい」と語っている。

川に行く際は細心の注意を
 北野教授は「金目川は規模が小さいので、場所を選び危ないことをしなければ入りやすい」と話している。とはいえ時として危険な場にもなる川。安全に楽しむには、子どもは必ず保護者や責任ある大人と一緒に行く、ライフジャケットを着ける、雨の後など増水している時は入らない、などのルールを必ず守る必要がある。
 身近な場所にもたくさんの命が息づいている。それを知ることが、豊かな自然を守ろうとの思いにきっと繋がっていく。

◇「金目川の魚類」についての問い合わせ=金目川水系流域ネットワーク柳川さん☎︎090−9203-9751
◇川での注意点は神奈川県HP「河川水難事故を防ぐために」を参照


【写真】
1)毎年生き物観察会が行われる金目観音堂そばの金目川
2)頬に赤色のしま模様があるシマヨシノボリ
3)アユカケ
4)ニホンウナギ(魚はいずれも北野教授の研究室で撮影)
5)写真の魚は全て金目川で採取されたもの