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七夕にみんなの思いを込めて
平塚市の山晃央園(さんこおえん)で製作中の「ミニ七夕かざり」

2018年6月18日UP | headline, Top

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 毎年100万人以上の人出で賑わう一大イベント湘南ひらつか七夕まつり。会場の一角で販売されている「ミニ七夕かざり」を見たことがある人もいるだろう。これは30年近く前から、知的障がいのある人たちが中心の就労支援施設「山晃央園」(平塚市夕陽ケ丘)で作られている。昨年から平塚市のふるさと納税返礼品にも選定され、見ているだけで七夕が待ち遠しい気分になる。まつりが近づく中、現在製作が進んでいる。

 竹の持ち手にビニールでできた笹を挿し、金や銀など華やかな色の吹流しや短冊を付けた長さ約80㎝のミニ七夕かざり。平成2年に山晃央園が設立された当初、同園の磯部千代子副理事長が七夕まつりに来た人のお土産として「小さなサイズの飾りを施設で作ってはどうか」と考えた。そこで、材料を扱う店が集まる東京・浅草橋まで足を運んで1軒ずつ回ったがどこでも断られ、笹の部分を希望のサイズで作ってくれる所を何とか1軒見つけたという。

通所者全員で作業を分担
 かざりには本物の竹が使われている。毎年施設に通う人たちが、許可を得た上で河川敷などに生えている竹を切り、30㎝ほどに切り揃える。節をカッターで削ってよく磨き、笹の根元にティッシュペーパーを巻いて太さを調節してから竹の穴に差し込む。作り続けて20年ほどという女性は「引っ張っても抜けないようにする加減が難しい」と話していた。
 これに色や形のバランスを見ながら互いに相談し、花が四方に広がったようなタイプやイルカの絵がついたものなど華やかな飾りを付けていく。真剣な中にも和気あいあいとした雰囲気で、職員の岩田美里さんは「色々な工程があるのでみんなが分担してどこかに携われるんです」と話す。現在2,000本を目指して製作に励んでいる。

障がいのある人に働く喜びを
 磯部さんは、障がいのある子どもの将来を悲観する親に生きる望みを持ってほしいと考え、40年以上前から障がい者就労施設の指導員として勤務していた。そして平成2年に地域作業所の同園を設立。現在は2つの施設に市内や近隣から約40人が通い、湘南ひらつか名産品に認定された「湘南しらすチーズクッキー」を始めとする焼き菓子の製造や文房具の組み立てなど、障がいがあってもその個性に応じて作業に取り組む。作業から出る利益は通所者に支払われており、磯部さんは「働く喜びを持って自立した生活を送ってほしい」と語る。
 現在商店街の2店舗でかざりを販売しており、期間中には会場内の5カ所に同園のブースを設置しかざりや他の製品を販売する。磯部さんは、こうした商店街の人たちの支援もあって30年近く作り続けて来られたと言う。また通所者たちも、自立のための訓練として商店街で買い物をしながら「今年もよろしくお願いします」と挨拶をする。これらはかざり作りを通じ、地域との関わりを深めていくことにもなっている。
 まつりまであと3週間。年によって少しずつ飾りが変わるので、「今年の新作は?」と毎年楽しみにしてくれている人もいる。通所者の男性は「たくさん売れたらうれしい」と買う人と交流して販売するのを心待ちにしている。市内中心部だけでなく地域のお店や家庭でも飾ってもらい、七夕の盛り上げにひと役買えたらと磯部さんは期待する。
 じめじめした梅雨の真っ最中だが、これを飾って一足早く七夕気分を味わってみては。

◇1本1,200円(税込)問い合わせ=山晃央園作業所☎︎23-3264
今月21日(木)22日(金)に平塚市役所本館1階で開催される展示即売会でも販売。


【写真TOP】短冊の裏には願い事を書くことができる
【写真下】ちょうどよい太さになるようティッシュを巻きつける/竹の穴をS字フックに挿すときれいに飾れる