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バニューシネマパラダイス:シーン104『タクシー運転手 約束は海を越えて』

映画連載0511
『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017/韓国)

監督:チャン・フン 脚本:オム・ユナ
出演:ソン・ガンホ/トーマス・クレッチマン 他
横浜ブルク13他にて公開中。シネマ・ジャック&ベティ順次公開。
1980年、民主化の波が押し寄せる韓国で、軍事独裁政権の台頭に抗議した学生を中心とした民衆デモが光州を中心にわき起こった。政府はデモを鎮圧すべく軍隊を導入、民間人に多数の死傷者を出す流血の惨事となった。この事実を初めて世界に報道したのが、一人のドイツ人記者である。本作はこのドイツ人記者と彼と共に光州に向かったタクシー運転手の友情を描いた、実話に着想を得ている。ガンホ演じる男やもめで娘を育てる運ちゃんが、金に困って飛びついた儲け話がデモ真っ只中の光州にドイツ人記者を送迎する仕事。出来もしない英語が堪能なフリをしたり、光州が危険と見ればとんぼ返りしようとするしょうもないオッさんが、ドイツ人記者と現地の若者と触れ合ううちに、人としての使命に目覚めていく。客として後部席に乗せたドイツ人が助手席に乗る相棒となっていくまでを笑いと涙を織り交ぜて描く展開もさることながら、現地タクシー運転手たちの漢気溢れる協力による、決死の光州脱出行まで片時も目が離せない。タクシーとは言わず、電車でちょっと遠くに足を運んでも観る価値のある大傑作だ。
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文とイラスト:竹内清人
1968年生まれ。映画宣伝を経て、『戦国自衛隊1549』で脚本家デビュー。現在、平塚の片隅(馬入あたり)で執筆活動をつづけている。オリジナル小説『躍る六悪人』全国書店にて絶賛発売中!