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買い物に困る人へ多彩な商品を
移動スーパーとくし丸が平塚市内で営業開始

2018年4月9日UP | headline, Top

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 地域の商店が閉店したり、自動車を運転できず遠くまで買い物に行けないなど、普段の買い物に不便を感じる「買物弱者」。その数は経済産業省の推計によると、平成27年度には約700万人に上るとされた。そうした買い物に困る人の自宅の前まで来てくれる移動スーパー「とくし丸」が今月4日、平塚市内で営業を始めた。ハンドルを握るドライバーは、自らの経験からこうした仕事が必要だと考えたという。この新たなサービスがどのようなものなのか聞いてみた。
 

 移動スーパー「とくし丸」は、事前に登録した個人宅の前に軽トラックが週2回来て、生鮮品を含めた食料品や生活雑貨などを販売する事業。徳島市の企業が運営し、北海道から九州まで全国各地で展開されており、各地域にあるスーパーと提携してその店の商品を販売する仕組みである。
 このほどとくし丸と、平塚市内を中心に11店舗ある地域スーパーしまむらストアーが提携。まずは旭店を拠点に、土屋から吉沢、纒地区などを中心に金目川から西側のエリアを同店の商品を積んだ軽トラックが回る。鮮魚や刺身、肉から惣菜まで400品目約1,000点が積まれており、価格は基本的に商品1点につき店頭価格に10円プラスした額となる。曜日によって異なる3つのルートで約100軒を訪問する予定だ。

被災地での支援活動が元に
 この車に乗るのが販売パートナーの川口倫史さん(46)。以前は蒔絵職人として会社勤めをしていた。東日本大震災の2ヶ月後からボランティアとして宮城・岩手の避難所や仮設住宅を回り、食料やカバン、洗濯機まで要望のあった物資を配達する活動を2年以上続けた。その際高台に建設された仮設住宅の住人が買い物に行けずに不便な思いをしているという話をよく耳にしたという。
 そんな時、テレビで「とくし丸」のことを知った川口さん。将来リタイアした後に、移動販売をやってみたいという思いが生まれた。そのうちに、平塚に住む自分の周りにも、買い物に苦労している高齢者やそうした人を手伝っている人がいるとの話を聞くようになり「60歳になってからだと遅いのではないか、やるなら今だ」と思い立った。
 昨年4月、とくし丸に「平塚でも事業ができないか」と連絡し、会社を退職。それをきっかけに、以前から面識のあったとくし丸としまむらストアーの提携が決まり、川口さんが販売担当の個人事業主となった。

お客に信頼される存在目指す
 販売ルートとなっている平塚市土屋地区には、営業開始を喜ぶ人がいる。安池幸子さん(82)は、近所にあった魚屋や肉屋が閉店したため、普段は近くのコンビニエンスストアに行くものの魚や肉はあまり置いていないので不便を感じていた。夫(86)が運転できるので自分は時折離れたスーパーにも行けるが、近所の人の中にはタクシーで買い物に行く人もいるという。「お刺身など自分で見て好きなものが買えそうなのでよかった」と話している。

 川口さんはこれまでの経験で「人と人とのふれあいを通じ役に立てることが自分にとって一番大事なこと」と感じている。そのため商品を販売するだけでなく、お客との会話を通じ信頼関係を築いていきたいという。そしてちょっとした困り事の相談を受けたり、お客の体調の変化に気づいたりなど「見守り役」のような役割も担いたいと考えている。これはとくし丸の理念でもある。
 しまむらストアーでは、販売パートナーが見つかれば同様に買い物に困る人がいる他の地域でも今後実施していきたいとしている。
◇問い合わせ=しまむらストアー☎︎080-3305-0965(山口さん)

【写真TOP】おじいちゃんおばあちゃん子だったので年配の人との会話には慣れているという川口さん
【写真下】食料品の他トイレットペーパーや洗剤、お線香や乾電池も/冷蔵ケースがあるので鮮魚や刺身、肉なども販売できる