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バニューシネマパラダイス:シーン99『羊の木』

0223 映画
『羊の木』(2018/日本)

監督:田大八 脚本:香川まさひと
出演:錦戸亮/木村文乃/松田龍平/優香 他
シネプレックス平塚他、全国にて公開中。
平塚は平穏にみえて剣呑とした気配をはらんだ土地だ。かつてはピアノ殺人事件があった。嬰児のミイラを含む5遺体が発見される事件もあった。ロス疑惑の三浦和義が最後に暮らしたのもこの町だし、神戸で起きた事件の少年Aも更生期間を過ごしたという噂だ。そんな町に暮らす身として、本作は絵空事とは思えない。寂れた港町・魚深市では仮釈放された元受刑者に10年の定住を条件に身許を引き受ける極秘の国家プロジェクトが施行される。送り込まれてきたのは6名。担当となった月末(錦戸)は、彼らの罪状も知らぬまま身の回りの世話をする。そんな中、元受刑者で宅配ドライバーとなった宮腰(松田)とは、年が近いことや月末のバンドに興味を持ったことで心を許していくが、やがて、港で身元不明の水死体があがったことで、元受刑者たちに疑いの目が向けられる……。日常に異物を受け入れることは、自身の倫理と偏見との葛藤だ。わが町はといえば、住民は「平塚ってけっこうヤバくてさ」と自虐的に言ったりするが、その実、焦りもない。来るものを拒まぬ懐深さがあるのだ。魚深はここかもしれない。
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文とイラスト:竹内清人
1968年生まれ。映画宣伝を経て、『戦国自衛隊1549』で脚本家デビュー。現在、平塚の片隅(馬入あたり)で執筆活動をつづけている。オリジナル小説『躍る六悪人』全国書店にて絶賛発売中!