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ともしびショップ湘南平を伐採木で再生
多様な個性で新しい福祉の形を作る

2018年2月16日UP | headline, Top

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 今、湘南平で一軒の建物がリニューアルの真っ最中。大駐車場そばにある「ともしびショップ湘南平」で、社会福祉法人進和学園が喫茶スペースなどを運営していた場所である。伐採され処分される予定だった木が随所に使われていて、中には地元湘南平の木も。作業にはハンディキャップを抱えた進和学園の就労支援施設利用者も加わり、来月の完成を目指している。進和学園の関係者、建築家、工務店や職人など、多くの人がつながって動き出したこの事業への思いについて聞いた。

 この計画が本格的に始まったのは昨年6月。障がいを持つ人の就労の場である同ショップだが、売り上げが伸び悩み2年前には喫茶部門を休止した。運営していた進和学園では、もっと地域の人に来てもらえる魅力ある場所に生まれ変わらせ、就労する人たちが経済的に自立できるように、より多くの収入を得られるような新しい福祉のかたちを目指したいと考えていた。店の再生に、伐採された木を使うというアイデアを掲げたのが進和学園の就業支援団体・(株)研進の加藤ナルミさん。これまで就労支援施設の利用者らと共に、色々な種類の木の実から苗木を育て植樹し多様な森を育てる「いのちの森づくり」に取り組んできた。その中で、様々な理由で伐採された木がそのまま処分されることを知って心を痛め、そうした木を人が集まる場で生かせないかと考えていた。
 そこで、以前からの知り合いだった建築家の湧口善之さんに声をかけた。やむを得ず伐採された街路樹や公園木は通常処分されてしまうが、それを木材に加工し家具や建材として再生することで、街の木のあり方を変えたいと活動している湧口さん。加藤さんの考えに賛同し、都内と県内で伐採された木を使って今回のリノベーションに取り組むことになった。

職員も利用者も店作りに参加
 湧口さんはみんなで一緒に店作りをしたいと考え、同学園の職員や施設利用者などが可能な限り店作りに関わる機会を作っている。
 昨年12月に工事が始まった矢先、現場の近くでも市による伐採が行われていることに気づいた湧口さんは、「もったいない」と伐られた樹木を使いたいと考えた。市に連絡して丸太のまま譲り受け、現場まで運んだ。その際には運搬を職員が手伝ったり、施設の利用者が樹皮を剥くなどして共に作業を行った。
 今月、キッチンに伝統的な工法で土壁を新たに作る際には、湘南平からほど近い進和の施設「しんわやえくぼ」の敷地内に生えている篠竹を伐って壁の下地に使用することにした。そして篠竹をシュロ縄で編んで下地を作る際や、その上に土を塗りこめる作業にも、多くの人が参加。利用者の1人は「土が冷たかったが楽しかった」と笑顔を見せていた。本来はこの上に漆喰を塗る予定だったが、手の跡が残る様子を見た左官職人の湯田勝弘さんは「プロには出せない素朴な味がある」としてそのままにすることに決めた。

人も木も個性を生かす
 今回のリノベーションでは、耐震補強にトイレのバリアフリー化、そして2階をワンルームにするなど内装を全面的に新しくする。エノキやコナラといった湘南平の木は、フリースペースとなる2階の巾木などのほか、海を見渡せるカウンターに生まれ変わる。また1階のホットケーキパーラー「湘南リトルツリー」では内装に加え、伐採された樹木の色や特性を生かして湧口さんが椅子やテーブルを製作する。
 ゆくゆくは施設の利用者もパーラーで働く予定。研進の加藤さんは、進和に様々な個性を持つ人が集まっていることと、伐採木には多くの種類があり中には傷んだ部分もあるもののうまく組み合わせて使っていることとが重なり合うと感じている。新たに命を吹き込まれた椅子とテーブルで美味しいホットケーキを食べることが、障がいを持つ人について知るきっかけになる。この店がそんな場所に生まれ変わるのを楽しみにする人たちの思いがあふれている。
◇湘南リトルツリーの詳細はFacebookで。


【写真TOP】
土壁作りに挑戦
【写真下】
十分利用可能な湘南平の伐採木/完成を楽しみに待つ施設の利用者と職員ら/刈り取った竹の皮を剥いて土壁の土台に使う