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バニューシネマパラダイス:シーン98『スリー・ビルボード』

0209 映画連載
『スリー・ビルボード』(2017/イギリス・アメリカ)

監督・脚本:マーティン・マクドナー
出演:フランシス・マクドーマンド /ウディ・ハレルソン 他
109シネマズ湘南他、全国にて公開中。
いやぁ、まいった。なんかもうすごくて、降参です。でも、好きだなぁ、この映画! 小さな町で起きた未解決殺人事件を発端に、被害者女性の母が掲げた、警察を批判する三枚の広告看板が、周辺の人々を思わぬ悲劇に巻き込んでいく。言ってしまえばこれだけの話なのだが、とにかく筋が読めないのだ。断っておくと、本作は、ミステリーではない。この作り手は事件の真相などにはハナから興味がない。あるのは、玉突き事故のように巻き込まれていく、けして善人とはいえない人々の業だ。悲しいのに笑えるし、残酷なのに優しい。観ているあいだ、そんなアンビバレンツな感情を揺さぶりつづけられた。一応、物書きを生業としている身としては、ちょっと悔しい気分だ。どうやったら、こんなに底意地が悪く人間くさいドラマを発想出来るのか。特筆すべきは、ジョン・ウェインをイメージして演じたという、主演のフランシス・マクドーマンド姉御の西部のガンマンを彷彿させるカッコよさ。彼女がオスカー主演女優賞を受賞した『ファーゴ』をも凌駕する名演だ。もう一度いうが、とにかく、好きな映画だ。
kiyoto01
文とイラスト:竹内清人
1968年生まれ。映画宣伝を経て、『戦国自衛隊1549』で脚本家デビュー。現在、平塚の片隅(馬入あたり)で執筆活動をつづけている。オリジナル小説『躍る六悪人』全国書店にて絶賛発売中!