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バニューシネマパラダイス:シーン95『オリエント急行殺人事件』

1222 映画
『オリエント急行殺人事件』(2017/アメリカ)

監督:ケネス・ブラナー  脚本:マイケル・グリーン
出演:ケネス・ブラナー/ペネロペ・クルス/ジョニー・デップ 他
シネプレックス平塚 他にて公開中。
平日の午後にもかかわらず7割ほど客席が埋まっていた。客層を見ると中高年の夫婦同伴が多い。世代的に鑑賞すべき映画が本作ぐらいという時期もあるが、もう一つの理由は、旧作の映画を観ている方が多いのではなかろうか。驚愕の結末を迎えるミステリーだが、あまりにも有名過ぎて、多くの人が犯人を知っている。では、何を観に来るのか。オリエント急行の豪華な装いと、スター級キャストを容疑者に迎えた犯人探し、そして、事件の先に待つ予想外のハッピーエンドを期待してではないだろうか。いわば、様式美の世界なのだ。主演、監督を務めるケネス・ブラナーは、横移動の列車の動きに対して、陸橋を盾に移動する追跡アクションや、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」に見立てた謎解きの舞台など、技がきいている。なかでも出色は、名探偵ポアロのドラマだ。片足で牛の糞を踏めば、バランスが悪いともう一方の足も糞に突っ込んでみせるポアロという偏屈な男の成長を描いたことで、誰もが知る物語を見事な人間ドラマに仕立て直している。

0908 映画
文とイラスト:竹内清人
1968年生まれ。映画宣伝を経て、『戦国自衛隊1549』で脚本家デビュー。現在、平塚の片隅(馬入あたり)で執筆活動をつづけている。オリジナル小説『躍る六悪人』全国書店にて絶賛発売中!