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箱根駅伝をサポート
平塚中継所の運営を担う市陸上競技協会

2017年12月10日UP | headline, Top

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 数ある駅伝の中で、最も注目を集めるのがお正月の「東京箱根間往復大学駅伝競走」(関東学生陸上競技連盟主催)いわゆる箱根駅伝だ。その駅伝の3区と4区(復路は7区と8区)を繋ぐ平塚中継所では、平塚市陸上競技協会(市陸協)の面々が重要な役割を担っている。テレビにはほとんど映らないが駅伝に欠かせない存在である。その運営の責任者と、箱根路を走った元ランナーに、箱根に対する思いを聞いた。

 来年の第94回大会で平塚中継所の責任者を務めるのが、現在市陸協理事長の木村新一さん(68)である。箱根に関わり始めたのは30年以上前の昭和59年で、「当時は今のように盛り上がるとは思っていなかった」と振り返る。
 同中継所では、木村さんを含め市陸協の10人が審判員を務める。選手のタイムを計り、タイムと各校の順位を記録し、きちんとタスキが次走者に渡るよう現在の順位を見ながら次走者を呼び出すなど、レースの進行に必要な役割を担っている。中でもタイムを計る計時員は3人が担当し、複数の目で確認して正確を期している。

全力で走る選手のために
 また繰り上げスタートも中継所審判員の大きな仕事の一つである。先頭走者が中継線に到着した時点からストップウォッチで計測を始め、20分を経過すると残りの全走者をスタートさせるルールとなっている。審判員はレースの流れを見ながら繰り上げになりそうな場合に、専用のタスキを用意して待つ。前の走者があと10m、20mのところまで来ていてもきっかり20分でピストルが打たれるので、陸上選手だった木村さんは「気持ちも分かるし、かわいそうだなと思います」と言いつつ、ルール通りに間違いなくレースが運営されるように毎年心を砕く。
 さらに審判員に加え、市陸協や県陸協の数十人が走路員を担当。沿道の観客の飛び出しを防いだり、中継所の前後100m以内で禁止されている校旗や幕を掲出している人に注意するなど、選手の安全を確保するべく留意する。木村さんは「選手が走りやすく無事に事故のないようにとの思いでやっています」と、レースを支える心持ちを語ってくれた。

箱根の経験を糧に
 箱根駅伝をサポートする人たちの中には、実際に走った元選手もいる。市陸協会長や県陸協副会長を歴任した内野慎吾さん(88)は中央大学の選手として2回出場。第24回(昭和23年)では2区を区間2位で走り総合優勝に貢献した。28回(同27年)では9区を走ったものの最後は脱水症状に。フラフラになりながらも必死に中継所に向かったという。「タスキをもらった以上は次の人に渡さないといけない。どんなに苦しくても投げない、諦めない。それが身に染みています」と、駅伝を通じて得た財産を語った。そして、今こうやっていられるのも「内野、内野」と応援してくれた人のおかげと言い、恩返しの気持ちから今も走路員として沿道に立つ。
 また内野さんは視覚障がい者の「走りたい」との思いに応え、伴走や誘導をしながら健常者も共に健康作りをする団体「木曜ランナーズ」を結成し、27年に渡って活動を続ける。現在は小学生のグループもあり、コーチと共に週2回指導にあたっている。そして、子どもたちが練習内容や気づいたことをメモするノート1冊1冊に、内野さんが毎回赤ペンで励ましの言葉などを書き入れる。「子どもの夢や目標を大事に育ててあげたい」と願い、「中には箱根を走りたいという子もいます。子どもの夢や目標を何とか大事に育ててあげたい」と笑う。

 来年の第94回大会には、平塚市にキャンパスのある東海大学と神奈川大学が出場する。両校とも優勝候補と目されており、例年以上に期待が膨らむ。沿道や中継所付近で声援を送る場合は選手が全力を尽くせるよう、ぜひマナーを守って観戦したい。

【写真TOP】
平塚中継所付近に立つ木村さん
【写真下】
練習を見守る内野さん/ノートには内野さん直筆のメッセージが