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炭焼き活動で里山守る
移住者と地域のつながりも事業通じて創出

2017年10月28日UP | headline, Top

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 「湘南二宮・ふるさと炭焼き会」(井上光正会長)は、里山の保全活動を続けて17年になる。荒れた山林の木を伐り出しての炭作りや、里山の原風景を残すための活動など様々な事業を行う。現在その中心は林業経験のない元サラリーマン。第二の人生で頑張れることを見つけた人たちが、新たな参加者と力を合わせている。

 この会が発足したのは平成12年4月。高度経済成長期に薪や炭の需要が激減し、林業の担い手が減少したことから、二宮町内には整備もなく放置され荒廃が進む里山が出ていた。当時の古澤吉郎元町長の働きかけもあり、里山に必要な手を入れて再生し環境を保全しようと会が立ち上げられた。
 現在の主な活動内容は炭の製造。町内と中井町の山林で増え過ぎた木や竹を伐り出し、それを使って木炭と竹炭、そして炭焼きの副産物であり入浴剤や害虫の忌避剤として使われる木酢液と竹酢液を作っている。また里山の景観を残すため、高齢化などを理由に使われなくなった田んぼや果樹園を補修・整備し米作りも行う。今年7月には各地の森林・林業に関わる団体が集まる「関東・山梨ブロック林業グループコンクール」の県代表に選ばれ、活動内容を発表するなどその活動が認められている。

より良い方法を求めて工夫
 同会の炭焼き窯があるのは、二宮町一色の林の中。木炭用と竹炭用の2つがあり、その中に木を隙間なく詰める。そして窯の入り口で火を起こし、煙突から出る煙が80℃になると入り口をほぼ塞いで、木は2日半、竹は1日半そのままおくと炭ができる。
 現在35人いる会員の多くが60~70代の退職した元サラリーマン。第二の人生の過ごし方を模索する中で、知り合いに声をかけられたり、会のHPを見たりして加入したという。炭焼きは先輩たちから教わった方法を受け継ぎつつ、より品質の良いものを効率よく作るために改善を重ねている。以前は煙の温度を手のひらの感覚で判断していたが、出来上がりにばらつきが出ないよう、今は温度計を使って1時間ごとに計測。良い炭ができた時の温度変化をグラフにして、それと同様の変化になるよう火の強さや空気の入り口の大きさなどを調整する。ただ事務局の中條 茂さん(68)は「材料となる木は種類も太さもバラバラな上、天候にも影響されるので、同じようにするのは難しい」と話していた。

移住者と地域をつなぐ
 炭焼き会の発足から17年。市民活動団体の中には、高齢化などにより継続が難しくなる団体も少なくない中、炭の販売先を確保している同会には毎年30人前後が参加し、今も月に6~9回集まって定期的に活動を続けている。
 そこに今年、若手が4人入った。そのうち末永 郁さん(36)と川尻哲郎さん(55)は無農薬農業を目指して二宮町に移り住み、地域活動に参加しようと加入した。川尻さんは「斜面で木を伐る作業が大変で、最初は『ボランティアなのになんでここまでやるの』とカルチャーショックでした」と振り返る。しかし会員の紹介で畑を借りられ、人参などの栽培を始めることができた。こうして会の活動は、移住者と地域とのつながりを作り出すことにも役立っている。

 雑木林を切り開いたりチェーンソーを使っての薪割りなど作業はかなりの重労働である。なぜ活動を続けているのか尋ねると、口々に「みんなで“一杯やる”のが楽しいからですね」とニヤリ。昔の肩書きは関係なく、時には作業の改善点や里山の将来への思いをつまみに意見を交わし合う仲間の存在が、活動の原動力になっている。

◇同会の製品は二宮町観光協会売店(☎︎73-1208)などで販売されている。また11月19日(日)の「湘南にのみやふるさとまつり」(会場=ラディアン)にも出店。活動の詳細は同会HPまたは中條さん(☎090-7230-3708︎)まで。


【写真】良い炭ができた時の温度変化のグラフ/同会の製品/里山の景観を残す活動も