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心を合わせて伝統芸能に挑む
今月22日(日)の催しに出演の二宮高校相模人形部

2017年10月14日UP | headline, Top

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 県内でも珍しい相模人形部がある県立二宮高等学校。入学前から興味を持ち入ってくる生徒はもちろん、誘われて入った生徒もその面白さを感じて練習を続け、今年は6回目の全国高等学校総合文化祭出場も果たした。今月22日の「第43回二宮町民俗芸能のつどい」に招待芸能として出演する同部の生徒らに話を聞いた。

 相模人形芝居は相模国(県中部から西部)に伝わる人形芝居で、一体の人形を3人で操るのが特徴である。浄瑠璃(三味線を伴奏とする語り物音楽の一種)に合わせて、カシラ(首)と右手は主遣い、左手は左手遣い、両足は足遣いがそれぞれ操作する。県内の高校で同様の部があるのは他に厚木東高等学校だけである。

全国大会目指して部員集め
 部員たちは、日本の伝統文化に触れられると自ら入部してきた生徒が多い。片倉真紘さん(1年)は、小学生の頃相模人形芝居を見た経験があり興味を持っていたところ、高校に同部があったことから入部を決めたという。
 一方で、顧問らの勧誘をきっかけに入った生徒も多い。顧問5年目の小辺江美教諭は、昨年夏に広島県で行われた全国高等学校総合文化祭(総文祭)に派遣され、各地の高校生が伝統芸能に取り組む姿に「全国でも人形芝居をやるところが少ない中、同校も出場してアピールしたい」と考えた。ただ部員は当時3年生と1年生の計4人しかおらず、大会出場には足りない。小辺教諭らは、困っている時に助けてくれそうな生徒に声をかけ部員集めを始めた。
 その思いに応えて入った1人が下澤 光さん(3年)。「体験の時に先輩や先生に丁寧に指導してもらった。何か自分にできることがあればやりたい」と思って入部を決めたという。
 部員たちは少しずつ仲間を増やしながら練習を重ね、昨年12月の県の総文祭で教育長賞を受賞。5年ぶりとなる全国総文祭への出場を決めた。ただこの時使った大道具が全国総文祭では使用できず、同じ演目では出場できない。新しい演目に挑戦するためには最低12人必要で、何としてもさらに部員を増やす必要があった。

相模人形の面白さ

 そして4月、みんなの熱い勧誘が実って新たに5人の1年生を迎え、部員は13人に。ようやく新演目「坂田金時怪童丸物語 下鴨神社の段」に取り組めることになった。ただ8月の全国総文祭まで4ヶ月、人形の振りや道具の動かし方など覚えることが山のようにあった。人形の指には関節があり、一つ一つの振りで細かい動きが表現できる。部長の横川珠悠さん(2年)は「うまくいけば生きているような動きができる」とその魅力を語る。また一体を3人で動かすので、高尾あゆみさん(2年)は、「1人(の動き)がだめだと人形がだめになるから、気を抜けない」と言う一方で、片倉さんは「3人で一緒にやるのが楽しい。足の動きがうまくいかなかったが先輩に手伝ってもらって褒められるようになった」と、3人で心を合わせる楽しさも感じている様子である。
 長年指導にあたるのは、小田原市を活動拠点とする相模人形芝居下中座(国指定重要無形民俗文化財)の林 美禰子座長ら。毎週のように練習に参加し、人形や道具も下中座から貸し出して、同部の活動を大きく支えている。
 そして迎えた8月の宮城県での全国総文祭。本番前も皆で励まし合って練習の成果をそのまま出せたといい、奥野未夢さん(2年)は「終わった時は『できた!』と達成感一杯でした」と振り返る。
 小辺教諭も「林さんたちや入ってくれた部員たちなどいろんな人に助けられました」と話し、多くの人の思いが繋がってようやく実現した全国への出場を喜んでいた。

 22日の「つどい」で同部は全国総文祭での演目「怪童丸物語」を上演する。中には、金太郎(怪童丸)が姫を守ろうと大きなムカデと戦う場面があり、横川さんは「動きがアクティブでやっていても楽しい」と話す。内容も分かりやすいといい、これまで観たことのない人も江戸時代から続くこの伝統芸能に触れてみるきっかけにしてみてはどうだろうか。


◇第43回二宮町民俗芸能のつどい
・日時=10月22日(日)10時~
・会場=二宮町ラディアンホール
・入場無料。招待芸能2団体と祭囃子、雅楽、獅子舞など町内15団体が出演。
・問い合わせ=町教育委員会生涯学習課☎︎72-6912


【写真】この日の練習には部員11人が参加。/全国総文祭での様子(同校提供)