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空き家でまちを元気にしたい
工夫次第で新たな価値が生まれ人を呼び込む

2017年5月20日UP | headline, Top

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 この冬、二宮町山西で1軒の空き家を改装するワークショップが6回にわたり開かれた。築41年の2Kが、木の香りがあふれ日当りのよい空間になった(写真①)。中心となったのは、古い建物の価値に最近気づいたという不動産屋店長。このように空き家を活用し地元をより良く変えたいと考える人が少しずつ増えている。
 

 ワークショップにはリノベーションに興味のある人が町内外から参加し、床貼りや壁にしっくいを塗るなど共に作業を体験した。回を重ねるうち、店を開業したい人が週替わりでチャレンジできる場や地域の人が集まるスペースにするなど活用のアイデアが出て、参加者の1人が二宮へ移住するきっかけともなった。
 主催した1人が、二宮に店舗を構える太平洋不動産店長の宮戸 淳さん(38)。古い建物への価値観が変わったきっかけは、二宮町二宮で「Boulangerie Yamashita(ブーランジェリーヤマシタ)」(②)を営む山下雄作さんからの依頼だった。30年ほど放置されていた元美容室でパン屋をやりたいので「所有者にあたってほしい」と山下さんから頼まれた時は「本気で?」と思ったという。しかしボロボロだった建物がセンスよく改装され、開店後には町外からも客を集める人気店に。その後別のコーヒーショップの開業にも関わる中で、おしゃれな店ができると町の人も喜んでくれ外の人にも町を知ってもらえるなど、活性化に繋がると実感した。

移住者と地域を繋ぐ
 それを機に、埋もれている空き家を探し所有者を訪ねては交渉を行い、条件の整った賃貸物件を紹介するようになった。町外からの希望者が何組も出る建物も現れた。元落花生屋の店舗の借り手には、「これまでなかった空間を作ってくれそう」との理由から、東京から移住し住居とデザイン事務所やギャラリーなどに改装する関根将吾さんが選ばれた。 
 ただ、借り手が自由に改装してもいいと言う所有者はなかなかいない。だから宮戸さんは事例を積み上げ、理解ある大家さんを増やしたいと考えている。

子どもや子育て世代が集う場
 大磯町でも空き家が増えている中、子どもの声があふれる「元・空き家」もある(③)。この築75年ほど(一部は約45年)の住宅は、隣に住むフルート制作者桜井秀峰さん(44)のもの。以前の住人が亡くなり空き家となった家を昨年買い取った。週2回は妻の美香さんがダンス教室を開催し、幼児から小学生まで約50人が通う。またある日は、ママと子ども7組がお昼を持ち寄ってランチ会。子どもが騒いでもさほど気にならず、広々とした部屋でゆったりと過ごしていた。
 そばに住む石井 弘さん(70)は周囲に高齢者の世帯が多く以前はひっそりしていたと話し、「子どもの声が聞こえると賑やかでいいです」とにこやかに見守る。
 昨年には、友人家族が数日間滞在して大磯暮らしを体験。桜井さんは、大磯からでも横浜や都内に通えると分かれば移り住む人が増えるのではと期待し、移住者の宿泊体験の施設として他の空き家も活用し得ると考えている。
 「良い物件さえあれば反応は大きい」と宮戸さんは手応えを感じている。二宮町が昨年度実施した空き家所有者への調査では、回答した123人のうち貸し出したいと答えた人が約1割いた。そうした人に情報を提供し実際に使われている様子を知ってもらうことが、新たな物件の掘り起こしに繋がっていくのではないだろうか。

【写真TOP】リノベーションで生まれ変わった建物
【写真下】リノベーションの前(宮戸さん提供)/ワークショップで作業する宮戸さん(中)/Boulangerie Yamashitaの店内/桜井さんが開くダンスレッスン