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よみがえる旧吉田邸:vol.1 楓の間

2017年4月7日UP | よみがえる旧吉田邸, コラム

応接間02
 玄関ホールから右手に位置するこの部屋は“楓の間”と呼ばれ、1979年に大平正芳元総理大臣とジミー・カーター元大統領の日米首脳会談も行われた歴史的にも意義深い場所だ。畳40畳分の洋間で天井は船底形になっている。残念ながら“楓の間”の名前の由来は不明だそうだ。
 部屋に入ると2セットのソファーがまず目に飛び込んでくる。手前が花柄の生地が鮮やかな籐椅子。奥には黒革の重厚なソファーが置かれている。この内、黒革のソファーは多くの写真・映像資料などに吉田茂本人が使用している姿が残っており、特に一番奥に位置するソファーに座っていたとされる。手前の籐椅子は実際には応接間にあったかは不明。実際にこの部屋を訪れた人の話を聞いても、黒革のソファーの方に強い印象があるようだ。とはいえ他の部屋で同型の籐椅子を使用している様子は資料にも残っており、黒革のソファーと共に写真資料から大きさを割り出し製作した特注品だ。入って左手には総大理石製の暖炉。今回の復元はあくまでレプリカだが、当時は実際に使用していたものだという。
 部屋の中央にある衝立は外務省外交資料館別館に吉田茂記念事業財団が寄贈したもののレプリカだ。吉田茂がゆかりの人々と交わした手紙を元に作られており、その相手は実父・竹内綱、義父・牧野伸顯をはじめ犬養毅、原敬、西園寺公望ら錚々たる面々。手紙の内容に統一性はないが、おそらくは自身が尊敬していた人々との手紙を衝立にすることで来訪者には威厳を示し、自身には気を引き締める戒めとしていたのではないかと推察される。
 展示物に目を移すと皇室の面々をはじめ政財界人、関係諸外国の人々などと写った写真がある。使われたフォトフレームは実際に吉田茂が所蔵していたものだという。また、ゆかりの品の中には先の火災で燃え残った虎の置物がある。出自などは不明だが、真っ黒に焼けた姿は火災の凄まじさを物語っている。

応接間01