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よみがえる旧吉田茂邸
焼失から8年、4月1日から一般公開

2017年3月31日UP | headline, Top

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 2009年3月に火災により焼失した大磯町の旧吉田茂邸が再建され、来月1日から一般に公開される。26日には同町の大磯プリンスホテルで落成記念式典が催され、孫の麻生太郎副総理らが出席した。焼失から8年、数々の逸話を残し戦後日本の礎を築いた宰相の終の住処が今、よみがえる。

 同邸宅は明治17年に吉田 茂(1878-1967)の養父、健三が別荘として建てたのが始まりで、吉田 茂は昭和19年頃から、その生涯を閉じる昭和42年までを過ごした。元々の建屋から増築を重ねており、今回再建されたのは昭和22年ごろに建てられた応接間棟、そして数奇屋建築の近代化に貢献した吉田五十八が昭和30年代に設計した新館部分がメインとなる。吉田 茂が私邸として暮らしただけではなく、政界引退後も数多くの政財界人が訪れた。彼の死後にも1979年に大平正芳首相とカーター米大統領の日米首脳会談が開かれるなど歴史的にも意義深い場所だ。そういった歴史的背景もあり、町民や有識者からは焼失後すぐに再建の声が上がった。大磯町も「大磯町旧吉田茂邸再建基金」を設置し、県や国と調整しながら再建を目指し、ついに昨年、総工費5億4,000万円の事業が完成した。

初孫は「迷惑しました」
 式典には麻生副総理兼財務相に加え、菅義偉官房長官、二階俊博自民党幹事長、黒岩祐治知事らが出席。中﨑久雄町長は「大きな悲しみであった」と火災を振り返り、この場所が「今日の日本の原点である地」と語った。同時に「将来を想像する無限の可能性を秘めた希望の館」と再建が町にもたらす意義に改めて期待を込めた。他の来賓が粛々と祝辞を述べるのとは対照的に、吉田 茂の“初孫”麻生副総理は「小中学生のころは毎週日曜日に連れてこられる羽目になり迷惑しました。そういう意味でいい思い出はない」と冒頭から麻生節全開。加えて基本的には再建に消極的なスタンスだったことを明かし、河野太郎衆議院議員から再建の話を持ちかけられたときには河野氏の祖父、故・河野一郎さんが“吉田茂打倒”を目指していたことから「(邸宅を再び)建てるなんて『何を考えているんだ』と一郎さんが言うぜ、と申し上げたこともあった」と笑いを誘った。「時代は変わったと思うが湘南といえば大磯。この地が再び活気を取り戻す一助になれば吉田 茂も『へぇー、こんなものになるのか』と思うでしょうから大いに利用して」と、最後まで飄々と語った麻生氏。その後は現地での内覧などが行われ、参加者は感慨深げに再生した建物を見て回っていた。

新たな観光スポットとして
 再建された旧吉田茂邸は大磯町郷土資料館の“別館”という扱いになる。同資料館では現在、「吉田茂 その生涯と大磯」を5月7日(日)まで開催中だ。また大磯プリンスホテルでは4月5日から吉田 茂が愛したという大磯の名産品を楽しめるランチや宿泊プラン(いずれも要予約、詳細は同ホテルHPなどで)を販売する。他にもスタンプラリーや庭園コンサートなど、4月1日、2日には各種の催しが企画されており、早くも町の観光の一助になりそうだ。
 今新たに戦後日本の礎を作った場所が、後世に伝える遺産としてよみがえる。

以下枠で
大磯郷土資料館別館 旧吉田茂邸
開館時間:9時〜16時30分(入館は16時まで)
休館日:月曜日・毎月1日・年末年始(12月29日〜1月4日)
観覧料:一般500円、中・高校生200円(団体割引あり)
TEL:61−4700 大磯町郷土資料館

本紙では吉田茂邸再建を記念して4月より短期連載「よみがえる旧吉田茂邸」を掲載予定です。ぜひご覧ください。


【写真TOP】
再建された邸宅
【写真下】
式典でのテープカット/吉田 茂が息を引き取ったと言う“銀の間”/官邸直通の黒電話(レプリカ)/内覧会に訪れた来賓ら