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平塚を舞台にした推理小説
作家・東川篤哉さんに聞く

2013年8月30日UP | headline, Top


 平塚市内を舞台に、女性コンビの名探偵と助手が様々な事件の謎を爽快に解決していくユーモアミステリー『ライオンの棲む街~平塚おんな探偵の事件簿1~』(祥伝社)が今月9日、発売された。作品中には、主人公が拠点とする札場町をはじめ代官町、豊原町、南金目といった数々の聞き慣れた地名が頻出。また「七夕まつり会場の湘南スターモール」「明石町のスナック」「紅谷町の閉店した大型スーパー」「ラスカでバーゲン品を衝動買い」「梅屋の前で不良に絡まれて」……など、住民なら思わずニヤリとしてしまう表現も随所に見られる地元色満載の作品だ。著者は、2011年度の本屋大賞を受賞したミリオンセラー、テレビドラマ化・映画化もされた作品『謎解きはディナーのあとで』(小学館)で知られる東川篤哉さん(45)。本紙では、この地元感がたっぷり詰まった新刊の発売にあたり、同氏にインタビューを行った。

――まず始めに、なぜ舞台を平塚にしようと思われたのですか。
「担当の編集者が平塚出身、ということがきっかけです。デビュー作では『烏賊川市』という架空の街を作りましたが、以降の作品では具体的な場所にしようと。他の作品では僕がよく知っている街である国立や国分寺、八王子などが舞台です。ですがそうやって書いていくと自分の知っている土地がなくなっていくんです。中央線沿線ばかり舞台にするのもワンパターンですし、かと言って全く知らない街だと書きにくい。ということで編集者の出身地・平塚を選びました」

――かなり平塚にお詳しいようですが、どういったリサーチを?
「平塚には編集者と2回ほど行きました。1回目は普通の取材で、2回目は七夕まつりを見に。あとは編集者に話を聞いたり、地図を眺めながら、ですね」

――それだけの調査にしては、実際の地域の特徴や雰囲気を的確に表しているような気がしますが。
「それは偶然……と言うか、いえ、取材の成果ですよね(笑)」

――平塚の魅力や面白さ、興味を持たれたものがあれば教えてください。
「結果的に本編には出てきてないですが、海があるのがいいな、と思います。平塚の海は砂浜がすごくキレイですね。長い砂浜が続いていて、ああ、こんな所なんだ、と驚きました。海で起きる事件を書こう書こうと思いつつ結局書けませんでしたが。あとは、地方都市っぽさが好きです。僕は子どもの頃、下関や佐世保、鹿児島といった所で過ごしていたので、何となくそういった海辺の街が好きなんです」

――本作品の見どころや見てほしいポイントは?
「ユーモアミステリーとは言いながら、僕は本格ミステリー作家のつもりですので、やはり謎とトリックを見て楽しんでもらいたいと思います」

――他のシリーズと違う所は?
「僕はどの作品も似たような感覚で書いています。キャラクターが違うだけで、割と他のシリーズと似ているような……。ですので、他の作品を読んでくださった方にも読んでいただきたいとは思っているんですけれど」

――「1」とナンバリングされていますが、本シリーズは今後も継続していくのでしょうか?
「まだ連載を再開していませんがそのつもりです。1と謳った以上2を出さないことには(笑)」

――今後扱いたい市内の場所は。
「やはり海ですね。湘南平とかも使えたら良いと思います」

――今後、映像化の展望は? 近年のアニメに見られる「聖地巡礼」現象が起きると平塚が観光で盛り上がると思うのですが。
「あれば良いですが、こればかりは何とも。映像化であれば、アニメよりドラマが向いているとは思いますのでドラマ化されると嬉しいですね。ただ、主人公の特徴的なキャラを演じられる役者さんは中々いないだろうな、とは思いますが」

――最後に、舞台となっている平塚市の市民の方へメッセージをお願いします。
「平塚を舞台にしたことにより、平塚に対する親近感、親しみを持ちました。是非、平塚の人に読んでいただいて、楽しんでもらえれば嬉しいです。そして市外のお友達にも薦めていただき、平塚発信で全国区のヒット作にしていただきたいと思います(笑)」


【写真】(書籍)『ライオンの棲む街~平塚おんな探偵の事件簿1~』
東川篤哉著 祥伝社 1470円 全国書店で販売中